
先月、賃貸物件の契約更新を済ませたばかりなのに、その直後に大家さんから「来月から家賃を5,000円値上げします」とメールで通達されたら……誰でも「ちょっと待って!」と思いますよね。
今回は、契約更新後に突然家賃を値上げされた場合の法的な位置づけと対応方法について解説します。
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家賃値上げの法的ルール

家賃値上げの法的ルール
日本の賃貸借契約は「借地借家法」によって守られています。
- 借地借家法 第32条では、賃料について「経済事情の変動や近隣の相場と比較して不相当になった場合」に、貸主または借主が将来に向かって賃料の増減を請求できると定めています。
- ただし、これはあくまで「請求」であって、一方的に決まるわけではありません。
- 借主が納得しなければ合意は成立せず、貸主は家庭裁判所や地方裁判所に「賃料増額請求の調停・訴訟」を申し立てる必要があります。
👉 参考:借地借家法 第32条(e-Gov法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=400AC0000000090
契約更新後に値上げはできる?

契約更新後に値上げはできる?
結論から言えば、契約更新後でも貸主は賃料増額を請求できます。
しかしこれは「将来に向けての家賃」についてのみであり、更新契約時に合意した金額を、直後から「やっぱり上げます」と一方的に変えることはできません。
過去の裁判例(東京高裁平成17年7月13日判決など)でも、賃料増額請求は「合意または裁判所の判断を経て初めて効力が生じる」とされています。
借主が取れる対応

借主が取れる対応
- 合意しない旨を伝える
→ 「更新直後の値上げには応じられない」と返答すれば、家賃8万円を支払い続けて問題なし。 - 交渉する
→ 「相場がどうなのか、次回更新時なら検討できる」と柔らかく伝える方法も。 - 裁判所の判断を仰ぐケース
→ 借主が拒否しても、貸主が調停・訴訟を申し立てれば裁判所が判断します。
→ その際は「周辺相場」「固定資産税の増減」「経済事情の変化」などを根拠にする必要があり、「物価高騰」だけでは必ずしも認められるわけではありません。
まとめ

まとめ
- 家賃値上げは貸主と借主の合意が必要(借地借家法第32条)
- 更新直後に「やっぱり値上げ」は、一方的には成立しない
- 借主が納得しなければ、裁判所の判断が必要
- 借主は「従来の家賃」を支払い続けて問題なし