2025年6月、アメリカ・ミシガン州で衝撃的な事件が発生しました。
ミシガン大学の研究所で研究していた中国人研究者2人が、「潜在的な農業テロ兵器」とも呼ばれる生物病原体を米国に密輸した疑いで起訴されたのです。
この事件は単なる密輸問題にとどまらず、国家安全保障、食糧供給、学術研究、そして米中関係に大きな波紋を広げています。
参考記事 パテル外相、米国に「農業テロ工作員」を密輸した罪で中国人が起訴され「直接的な脅威」と警告 (FOX NEWS:英語)
事件の概要

事件の概要
項目 | 内容 |
---|---|
起訴された人物 | 雲青建(ユンチン・ジャン)氏と劉尊勇(ズンヨン・リウ)氏(中華人民共和国国籍) |
勤務先 | ミシガン大学(ジャン氏)/中国の大学(リウ氏) |
密輸物質 | フザリウム・グラミネアラム(赤かび病を引き起こす菌) |
主な罪状 | 密輸、虚偽の陳述、ビザ詐欺、共謀罪 |
背景 | 中国政府から研究資金を受けていた/中共への忠誠を示す情報が電子機器に存在 |
フザリウム・グラミネアラムとは?

フザリウム・グラミネアラムとは?
この菌は穀物に赤かび病を引き起こすことで知られ、世界中で数十億ドル規模の農業被害をもたらします。
●農業への影響(図:被害規模の推定)穀物別年間推定損失額(世界)
穀物 | 被害額(推定) |
---|---|
小麦 | 約30億ドル |
トウモロコシ | 約25億ドル |
イネ | 約15億ドル |
大麦 | 約10億ドル |
出典:国際農業研究機関推定データ(参考)
この菌はまた、人体や家畜にも有害な毒素(マイコトキシン)を産生し、嘔吐・肝障害・不妊などの健康被害のリスクも報告されています。
事件がもたらす3つの深刻な影響

事件がもたらす3つの深刻な影響
- 国家安全保障への直接的脅威
FBIとCBPは「農業テロ」としての可能性に警戒を強めており、研究者を装った国家工作員による潜入リスクが浮き彫りに。 - 大学と学術界への信頼喪失
権威あるミシガン大学が舞台となったことは、米国内外の大学への信用問題に発展しかねません。 - 中国人留学生への締め付け強化
ルビオ国務長官は、今後「中国共産党と関係がある」人物へのビザの積極的取消を示唆。キャンパスの自由と国家安全保障の板挟みに。
Q&A:この事件をもっと深く知る

Q&A
この事件をもっと深く知る
Q1. なぜこの菌が「農業テロ兵器」と呼ばれるの?
A1. フザリウム・グラミネアラムは穀物に甚大なダメージを与える上に、人体・家畜への毒性も強く、意図的に撒かれれば食糧供給網を破壊することが可能なため、「農業テロ兵器」とみなされています。
Q2. 研究者が学術目的で持ち込んだ可能性は?
A2. 起訴状では、ジャン氏の電子機器から中国共産党への忠誠を示す証拠が確認され、劉氏も密輸を一時否認していたことから、「意図的な工作活動」の可能性があると連邦当局は判断しています。
Q3. 今後、米国はどのように対応するのか?
A3. トランプ政権下では、重要分野の研究に関与する中国人学生のビザ取り消しが本格化しており、ハーバード大学を含めて、大学の対中関係見直しが進む可能性が高いです。
まとめ:食の安全と国家安全保障はつながっている

まとめ
食の安全と国家安全保障はつながっている
今回の事件は、「農業テロ」という新たな安全保障リスクを浮き彫りにしました。
大学での研究活動すらも、国際的な諜報・工作の舞台になるという事実を私たちは直視しなければなりません。
今後もこうした「見えない脅威」にどう対処するかが問われる時代に突入しています。
📌 注目ポイント
- 「農業テロ兵器」の実例として世界的に報道
- FBIとCBPが連携して未然に阻止
- 中国研究者の学術研究が「国家工作」の隠れ蓑になっている疑い
キーワード:
農業テロ兵器、中国人研究者 密輸、ミシガン大学 生物兵器、中国共産党 工作員、フザリウム・グラミネアラム