家を買うとき、多くの方が「いくらの住宅ローンを借りられるか?」を考えます。
しかし、本当に大切なのは「銀行が貸してくれる金額」ではなく、「教育費や老後資金をしっかり確保しながら、無理なく返済できる金額」を知ることです。
ここでは、ご主人32歳、年収900万円、お子さん2人(1歳と5歳)のご家庭を例に、無理のない住宅ローン額をシミュレーションします。
関連記事:300万円の年収で、どんな家が買える?住宅ローンの適切な返済比率とは
住宅ローンで絶対に意識すべき「返済負担率」

住宅ローンで絶対に意識すべき「返済負担率」
「返済負担率」とは、年収に占める年間ローン返済額の割合のことです。銀行によっては、この割合が40%〜50%までなら融資してくれます。しかし、将来の家計を圧迫しないためには、年収の20〜25%以内に抑えるのがおすすめです。
年収900万円の場合、この基準に当てはめると、年間の返済額は180万円〜225万円。月々では15万円〜19万円が目安となります。
借入可能額シミュレーション

借入可能額シミュレーション
年収900万円のご家庭が、金利1.3%(変動型)、35年ローンを組んだ場合の借入可能額を見てみましょう。
- 毎月15万円の返済 → 約5,200万円の借り入れ
- 毎月18万円の返済 → 約6,200万円の借り入れ
- 毎月20万円の返済 → 約6,900万円の借り入れ
この結果を見ると、「もっと借りられるのでは?」と思うかもしれません。しかし、お子さんがいるご家庭には、住宅ローン返済と重なってくる大きな出費があります。それが「教育費」です。
将来の家計を左右する「教育費」と「老後資金」

将来の家計を左右する「教育費」と「老後資金」
文部科学省のデータによると、子ども1人あたりの大学卒業までの教育費は、公立でも約1,000万円、私立の場合はさらに高額になります。お子さん2人の場合は、2,000万円以上の準備が必要です。
特に注意したいのが、お子さんが大学に進学する時期。この時期は、住宅ローンの返済がまだまだ残っている上に、教育費の負担がピークを迎えます。返済額を多く借りてしまうと、家計が破綻しかねません。
さらに、忘れてはならないのが老後資金です。人生100年時代といわれる現代では、ゆとりのある老後を送るためには、数千万円の資金が必要となります。
結論:無理のない住宅ローン借入額は?

結論:無理のない住宅ローン借入額は?
教育費と老後資金をしっかり確保することを考えると、年収900万円のご家庭でも、住宅ローンの借入額は5,000万円〜5,500万円程度に抑えるのが安心です。毎月の返済額は15万円〜17万円前後を目安にしましょう。
もし、ご主人の年収アップが見込める場合でも、まずはこの金額を目安に物件を探し、余裕ができたときに「繰り上げ返済」でローン期間を短くするプランを立てるのが賢い選択と言えます。
「銀行が貸してくれる上限」と「家計が無理なく返せる額」はまったくの別物です。ぜひ、将来のライフプラン全体を見据えて、無理のない住宅ローン計画を立てていきましょう。